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ギルド日誌 ~レイヤのはなし~

〇月△日 曇り

萌えもんギルド「シースワロー」マスター レイヤ 記す




世界中を旅しながら活動する場合と違い、拠点を持つギルドのギルドマスターは仕事が多い。
前者の場合、面倒な書類の手続きや依頼の受理などの雑務は萌えセンが行ってくれるが、私たちのように「拠点に届いた依頼」をこなす場合は、その面倒な仕事をすべてギルドマスターが行わなければならないのだ。
届いた依頼を受けるかどうか、受けるならば誰がその依頼に赴くかといった割り振りに始まり、どういった依頼をどう遂行したか、依頼料は適切だったかなどをギルド協会に報告したりもしなければならない。
そういうわけで、ギルドをまとめる立場にあるギルドマスターは必然的にそういった書類の山と格闘する羽目になるのであるが…。

「うあー、疲れたー」

時計の針が頂点を過ぎたころ、広いロビーで一人書面に向かっていた私は半ば書類を放り投げる形で背伸びをした。本来ならギアもこの書類を処理する義務があるはずなのだが、彼女はこの手のデスクワークに関しては全く当てにならない。…フラウンやフォボスが依頼で出ていなければ、手伝ってくれるのだが。

「お疲れレイヤ、コーヒーでも飲むかい?」

ふと、階上から声がした。紛れもない、前ギルドマスターの声だ。

「私はお茶がいいな」

了解と、彼はキッチンへと向かう。…クロムがこんな時間に部屋から出てくるなんて、珍しいこともあったものだ。

「はい、手伝おうか?」

しばらくして、お茶とコーヒーを持ったクロムがやってきた。お茶を私の横に置き、自分はテーブルの反対側に座る。

「いや、大丈夫。もう後二枚」

答えて私は書面に向き直った。向かい側のクロムも何やら書き物があるようで、ペンと手紙を取り出していた。
…クロムは、殆どこの出張所には居ない。普段はいつもベルと二人で、大さんと瑠璃を探す旅をしている。一月やふた月と間を開けてたまにこうしてふらりと帰ってくるのだが、長く留まって一週間くらいである。…しかし、あの睡眠の短いベルと一緒なのだ。やはり、この時間に部屋から出てくるのは珍しい。

「…最近、ベルはよく寝るようになってね」

私の心中を見透かしたかのように、クロムは唐突にそう切り出した。

「反対に、俺はどうも眠りが浅くなった。お互いに少し心配はしてるけど、今のところ実害もないし、放っておいてる」

「へぇ…少し気になるね」

「旅しながら情報は集めてるんだけれどね。…レイヤはいつもこんなに遅いのかい?」

お互いにペンを走らせながら会話は続く。

「今日は特に多くてね。…師匠が依頼に行くといつもこんな感じ」

「あぁー…なんか納得してしまうのがあれだなぁ」

他愛もない会話をしながら、私は最後の一枚に取り掛かった。

「クロムたちは最近どんな調子?」

「相変わらずかな。あちこち飛び回って、情報を聞いたり、トレーナーと闘ったり」

「また無茶しすぎて過労で倒れたりしてないだろうね?」

「その件は本当に悪かったよ。今はちゃんと倒れる前にここに帰ってきてるから大丈夫」

…だったら疲れてるだろうに。それでもこのお人好しは私につきあってくれている。
…まったく、と、心の中でため息をついているうちに、最後の一枚も終わってしまった。

「よし、仕事しゅうりょー。はぁ、疲れたー」

「御苦労さま。俺はもう少しここで書いて寝るよ」

…私が終わってもすぐに自分は切り上げない、しかも、自分の部屋があるのにわざわざロビーに出てきて手紙を書くなんて、クロムは相変わらずのお人好しだ。

…その優しさに、私は甘えてしまいたくなる。

クロムの無言の心遣い。それに気がついてしまったら、もうお茶の味なんてわからない。…つくづく、私もわかりやすい性格だと、自分で自分が可笑しくなる。

「…ねぇ、クロム」

「ん?」

「隣に座ってもいいかな?」

「別にわざわざ聞かなくても」

少し驚いた顔でクロムが答える。…わざわざ聞くから意味があるというのに、相変わらずこの男は。

クロムの隣に行き、座る。目を閉じて、私はクロムに寄りかかった。

「…ん? レイヤ、少し軽くなった?」

特に何の抵抗もせず、クロムは預けた体重を受け入れる。…言っている言葉は、お世辞なのか心配なのか。

「最近忙しかったからねぇ…」

「レイヤの方が俺より無茶してるんじゃないか?」

かもね、と言いながら、目を開ける。
こうしていると、この建物の中には私とクロムの二人だけしかいないような錯覚に捕らわれてしまう。

「ねぇ、クロム」

だからこそ、もっと甘えたくなってしまうのは、仕方のないことなのだろうと思う。

「もし私が、クロムのことを好きなのだとしたら……どうする?」

体重を預けた背中から、かすかに驚きが伝わってくる。…やはり、この鈍感め。

「……えーっと、レイヤさん? それは本気ですか?」

「もちろん」

「普段ベルに言うような冗談ではなく?」

「……殴るよ?」

…少しの沈黙。

「いや、まぁ、そう言ってもらえることは素直に嬉しい」

「嬉しい、けど?」

「…どうしても言わないとだめかい?」

「…」

そう言われて、私は言い淀む。…おそらく、返答は予想通りだろう。その言葉を避けようとしているせいで、余計にバレバレなのが、またクロムらしいというか。

「…いや、多分予想通りだろうし、言わなくてもいいかな」

クロムは私を拒絶するつもりは全くないだろう。そのことは、体重を預けた背中から伝わってきている。…今は、それだけで十分だ。

「…さて、じゃあ私は寝ようかな」

「あぁ、おやすみ、レイヤ」

そう言って立ち上がり、クロムの背中を振り返る。

「…ぎゅー」

っと、おもむろに背中から抱きついてみた。

「Σのわぁっ!? レ、レイヤ!?」

予想通りの反応だ。きっとクロムの顔は赤くなってることだろう。
…まぁ、それは…私もなのだが。

「じゃー、おやすみー」

クロムが振り返らないうちに、私はそう言ってその場を離れた。
…まったく、素直じゃない私に喝を入れたくなってくる。



…しまった。こんな日誌他人に見せられたものじゃない。
このページだけ切り取って私が大切に保管しておこう。







…というわけで、かなり前に頂いてましたSSお題、「レイヤの初恋について」でした。
いやぁまぁもう自分でも見れたものじゃないですねこれ。

ちなみにこのSSは世界樹の迷宮Ⅱの第6階層のBGMがよく似合います。(なんだそれは
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No title

暫く来ないあいだにキラッ☆が出来上がってるし(;´∀`)
ちょっとご無沙汰です(´・ω・`)

キラッ☆製作おつかれさまでした、師匠いいよ師匠!
ギアは美味しいところを持っていきましたって感が拭えませんねw
きっと主に『私の(ryと』と言いながら迫ったに違いない!

動画作成したいのですが、どうにもリアルが多忙だとついついサボリ気味になってしまっていけませんね(;・∀・)

っと、長文失礼しました~

No title

おひさしぶりです~

キラッ☆楽しんでいただいたようでなによりです!
ギアは気づいたらあのポジションにいました。私もいつの間にギアをあそこにしたのか不思議でたまりません(ぇ

リアル第一ですからねぇ…。
まぁ作れるときに一気に作るが吉ですね!

ではでは~
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>burn my dread~♪

管理人:エトリアの住人ことシースワローの人
主にマイナー好き
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主に午後8時~午前1時に出没

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